ウェルネスこらむvol.02 足はじ力とスポーツ─身体の「底力」

 これまで、さまざまな職種・年齢の方々に足はじ力(足の握力)の測定にご協力いただいてきました。今回は、測定を重ねるうちに見えてきた、足はじ力とスポーツの関係性についてご紹介します。

トライルランニング猛者達の実力

 「足はじ力とスポーツの関係」にまつわるエピソードとして、特に印象に残っているのは、トレイルランニングの国内最高峰の大会「Mt.FUJI100」にて計測会を行った時のことです。全体的に明らかに一般人よりも足はじ力(足の握力)が高く、男女問わずAランク(優れている)判定が頻出しました。

 山道や岩場など、平坦ではない地形を長時間走るこの競技では、足裏で地面の状態をとらえながら瞬時にバランスを取る力が求められます。トレランアスリートにとって、パフォーマンスを十分に発揮するために、足はじ力が重要なのは容易に想像できます。

 野球経験者にも足はじ力の高い方が多い印象です。前かがみで姿勢をキープすることや、瞬発的な動きが求められるため、つま先を常に使っていることで鍛えられているのではないかと考えています。

裸足で行うスポーツには「足本来の力」が活きる

 足はじ力が高い方に多いもうひとつの特徴として、柔道などの裸足スポーツや、日常的に裸足生活をしていることもあげられます。地面を直接感じながら動くことで、足裏の感覚が活性化し、バランス能力や踏ん張る力の向上につながっているのではないかと推察されます。

 まだ測定の機会はありませんが、これまでの仮説を組み合わせると、個人的に非常に関心があるのがバレリーナと相撲取り(力士)です。バレエでは、足先を極限まで使う動きが求められます。また相撲では、裸足での激しいぶつかり合いの中で、常に重心を保ち、踏ん張り、瞬時に動く力が必要です。おそらく、どちらも非常に高い足はじ力を持っているのではないかと、想像しています。

裸足で行うスポーツには「足本来の力」が活きる 相撲取り(力士)とバレエ

足元から“動き” を見直す視点

 足はじ力は、単なる筋力だけでなく、バランス力を示す指標です。特にスポーツに限らず、高齢者の転倒予防や、作業現場でのパフォーマンス維持など、幅広い分野で活用できる可能性を感じています。

 今後も測定を通じて得られるデータや傾向を蓄積し、より多くの方々に「足元から健康やパフォーマンスを考える」きっかけを提供していければと思っています!